R2年 小学生クラス説明会

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園長からのメッセージ

シリーズ13 2013年1月発信


明けましておめでとうございます。本年も子ども達にとって良い年でありますように。


1907年1月6日はモンテッソーリ教育のお誕生日です。

 マリア・モンテッソーリがイタリアの首都ローマに初めての子どもの家(casa dei bambini)を開設したのは1907年1月6日のことです。その意味で、1月は私達モンテッソーリ教育の実践者には特別な月です。

 マリア・モンテッソーリはそれ以降50年間にわたって、子どものための教育に生涯を捧げました。この50年の間には世界大戦が2度も勃発し、モンテッソーリ自身も戦争によって翻弄されました。モンテッソーリは平和な社会を構築していくためには教育の立場から何が必要なのかを自身の教育法に盛り込んでいます。それは具体的には、「1つの対象を様々な角度から見ることのできる多角的な視点を育てていくこと」と要約することができます。世界を震撼させた2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ以来、平和が大きくクローズアップされています。しかし、世界の至る所で紛争は続き、悲惨なニュースが頻繁に飛び込んできます。平和教育を究極の目的とするモンテッソーリ教育の役割がますます重要になってきます。

 私はいつも、「モンテッソーリは生きていたらこの現状を見て、何と言うのだろうか?引き続いて行なわれている核開発についてはどう思うのかな」と考えざるを得ません。

1907年1月6日
ローマ市マルシ通り第58ビル
世界で最初の「子どもの家」の
誕生。開設式の様子です。


2012年12月12日モンテッソーリーアジア国際大会シンガポールで開催

 12並びの昨年12月12,13両日シンガポールでモンテッソーリ・アジア国際大会が挙行されました。一昨年8月の中国北京に引き続く第4回の大会です。(モンテッソーリ・アジアの詳細については「園長からのメッセージシリーズ9 2011年9月発信」をご覧ください。)

 私は個人的にこの国際大会を非常に大切にしています。これはモンテッソーリ教育を通して知った「平和」の大切さを松浦公紀個人としてどのように表したらよいのかの結果とも言えます。

 私の父は第2次世界大戦の際には海軍の軍人でした。8月23日に出撃予定の特攻隊員でした。8月15日に終戦を迎えたので生きながらえ、私もそのお陰で誕生しました。父の敵は第2次世界大戦当時アメリカでした。祖父は陸軍の軍人で、中国戦争以来、満州、北朝鮮、韓国、そしてフィリピンを転戦し終戦を迎えました。運よく祖父も生還しましたが、戦犯として東京裁判で裁かれました。

 父も祖父も温厚を人間にしたらこうなるだろうなと思われるくらいに、いくら戦時においても人を殺めることなど想像だにできませんでした。しかし、戦争はそれを許しません。特に日本はアジア諸国には大きな迷惑を掛けました。その結果として終戦以来70年近く経った今でもアジアの国々はそのことを忘れてはいません。歴史的な経緯とは無関係のように、ショッピングに観光に私達日本人はアジア諸国に出掛けます。経済的にはそれぞれの国にメリットはあるのでしょうが、お金を落とすからといって太平洋戦争時の過ちが解消されるわけではありません。

 私は高校でアメリカに留学し、日本の大学を卒業後モンテッソーリ教育を再びアメリカで勉強しました。モンテッソーリ教師養成の仕事を始めるようになってからは台湾でモンテッソーリ教師の養成もしました。いずれも私の父や祖父が一度は敵国として戦った国です。こういった海外経験の折に多くのモンテッソーリの友人ができました。アジアにも多くのモンテッソーリの友人がいます。

 彼らと共に将来のアジアを担う子ども達のためにモンテッソーリ教育を普及していくことがこの国際社会における私の役割ではないかと考えるに至ったわけです。

 昨年12月のシンガポール大会でも多くのアジアの仲間と再会し親交を深めてきました。中国人の友人の女性は一昨年北京で会った際に妊娠8ヶ月を迎えていました。10月に無事男の子を出産。今回は1歳2ヶ月になった息子を連れて参加していました。彼女は北京の大会で私の講演を聞き、生まれた男の子にどうしても日本の名前を付けたいと「希望の路」という意味の“Khiro”「キロ」という名前を付けました。中国と日本の関係が政治的には非常に危ういこの時期に何と嬉しいことでしょうか。

「一人ひとりの人間が個として関わりあえば必ず分かり合える」というのが私の信念です。そのためにもこのような国際大会への参加は重要だと思います。


講演中の松浦公紀

アジアの仲間達と


乳幼児期の教師のあるべき姿

 シンガポール大会でのテーマは「教師論」です。これに沿って私の今回の発表のテーマも「プロとしての乳幼児教育の教師の在り方」で講演をしてまいりました。講演の中からポイントとなる部分を抜粋しました。教師だけの姿ではなく、あるべき大人の姿についても同じ視点で捉えることができるはずです。

『今日、子どもは「授かるもの」から「作られるもの」という考え方に変化してきているようです。同時に子どもは「自ら育つ」ものから、「育てるもの」へと変化しました。いずれにも「教師や大人が主導」という視点が見て取れます。

 誕生した赤ちゃんは2~3ヶ月経つと、自分の手をじっと見つめながらゆっくりと「むすんで、ひらいて」をするようになります。このときのまなざしは何気なく見るのではなく、「じっと」見つめています。これが一週間くらい続きます。すると、「もう、わかった」とばかり、見向きもしなくなります。この間に、赤ちゃんはそこに見えている「手」が自分のものであり、そこに能動性を投入することができる、つまり、世界のものは、自らの発した何らかの「意志」(原因)で動く(変化する)ということを発見します。物事の変化には「原因がある」という認識は、自らが「原因」となって、世界に動き(変化)をもたらすという「根源的能動性」の感覚が原点にあります。この「根源的能動性」こそがモンテッソーリの言う「自己教育力」です。そうなると、物事の動き(変化)を観察したならば、その背後には必ず「原因」があるはずだと考えるようになります。これこそが「わかろうとする」ことであり、「学ぼうとする」意欲へつながります。自己教育力を発見した赤ちゃんは、さまざまなことを「自分で」やりたがります。身の回りの変化に対し、自分が「原因」になることを確認し、それが嬉しくてたまりません。また、周囲の変化や動きに、「なぜ?」、「どうして?」と問わないではいられません。赤ちゃんは、四六時中「わかろうとしている」のであり、それは「学ぼうとしている」ことです。育つべき人間像のである一生涯を通して学び続ける姿勢は人生の出発点である乳幼児期に自己教育力を土台として、その自己教育力が環境に注ぎ込まれることによって培われていきます。

 ところが、残念なことに、私達大人はこの子どもの「自己教育力」、「根源的能動性」を抑圧してしまう場合が往々にしてあります。それが、私達大人の「教える」という行為です。大人は、赤ちゃんや子どもが「学ぼうとしている」ことがわかると、それに「過剰」に応えるために、つい「教えて」しまいます。つまり、「学び」を先取りしてしまいます。これは子どもが「問う」前に「答え」を教えてしまうことです。

 子どもはそのような大人との関わりの中で育つと、どんなことでも「教えてもらう」ことに慣れ、自ら学ぼうとする姿勢は育ちません。

 今、教育の世界で何が最も必要かというと、それは、「教えない」ことではないでしょうか。シンガポールの教育信条は「教えることを減らせば、子どもはより学ぶ」というものです。

 自ずと保育や教育のあり方は自分が受けてきたシステムをそのまま無意識のうちに踏襲しようとします。私達のほとんどは一斉画一の教育を受けて育ってきました。そこでは教師中心で情報(知識)を子どもに伝授する方式が取られます。

  • 一斉画一型
  • 上意下達型
  • 官僚型
  • トップダウン型

 しかし、乳幼児期の教育のシステムは私達が受けてきたシステムとはある意味で正反対に位置します。私達の今はこれまでの経験によって成り立っています。どこかでこれを断ち切り、理性の力であるべきシステムを実践しようとしていかなければ子どもの健全な育ちは望めません。私達には大いなる意識改革が必要です。』

「子どもに任せる」を到達点の方向として、少しずつ任せる割合を増やしていけるような関わり方をしてまいりましょう。
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